第3回「地域再生フォーラム」の報告
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・*.。★┏┓ 子どもが育つまち ★。.*・’
~子どもの力、大人の力、地域の力を生かした地域再生~
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◆ と き 平成20年11月29日(土) 13時~15時
◆ ところ 滋賀県立琵琶湖博物館 企画展示室ステージ
◆ 内 容
講義「子どもが育つまちとは」
卯月盛夫(早稲田大学教授)
鼎談「子どもの力、大人の力、地域の力を生かした地域再生」
卯月盛夫(前掲)
嘉田由紀子(滋賀県知事)
森川 稔(滋賀県立大学人間文化学部准教授)
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平成20年11月29・30日、琵琶湖博物館で「びわ湖・まるエコ・DAY2008」が開催された。このイベントに合わせて、「子ども」をテーマに、第3回近江地域再生フォーラムを開催した。
「子ども」と「みどり」が、今、危機的状況にあることについて、卯月さんからお話があった。日本の子どもは、「体力」、「知力」、「気力」が年々衰えており、また、将来に対する不安や孤独感を諸外国の子どもに比較して、強く抱いている。また、人間にとってなくてはならない「みどり」も危機にさらされている。「子ども」と「みどり」をとりまくこうした状況に、多くの人が大きな不安を抱いている。

「子ども」と「みどり」には、共通点がある。直接的な経済利益を生まないこと。むしろ保護しなければならない社会的な弱者の立場にあること。しかし、人間にとっては必要な存在であること。常に成長していくものであり、人間だけがそれを育てることができること。さらに、愛情を込めて育てると、かならず人間に喜びを与えてくれること。「子どもの力」と「みどりの力」は、人間に生きるエネルギーを与えてくれる存在である。そうしたことから、「子ども」と「みどり」は、まちづくりの輪を広げることに大きな役割を果たす。「子ども」と「みどり」をテーマにした市民活動はそれほど大きな対立を生まず、市民は参加しやすい。共感を得やすく、地域のネットワークが広がりやすい。まちづくりには、3つのことが必要だという。知恵と汗と若干のお金である。「子ども」と「みどり」の危機を救うために、みんながこの3つのどれかを出し合うことによって、社会に貢献できるとともに、みんなが繋がることができる。

地域の子どもたちが参加して、まちづくりが大きく盛り上がった事例として、新宿区立しんかいばし児童遊園の取り組みをご紹介いただいた。ホームレスが住んでいることもあって、子どもたちがほとんど利用しない小さな公園を、住民参加型公園改修のモデル事業として進めることになった。当初は公園に対する住民の関心は低かったが、この公園を会場にしたお祭り(しんかいばしフェスタ)を開催することによって、公園に対する関心が高まった。子どものために、あるいは地域のために何かしたいという輪が次第に広がり、多くの住民の参加をえることができた。1年半にわたるワークショップでは、公園の近くにある児童館が積極的に関与し、大きな役割を果たした。児童館に通う子どもたちが「公園キッズ」となって、「公園のデザインアイデア」から「道具デザインのスケッチや模型づくり」、「公園模型の旗立てデザインゲーム」(公園で気に入ったところと気に入らないところに旗を立てる)、さらに子どもたちに人気のなかった公衆トイレの外壁と内壁に絵を描く「子どもピカソ計画」など、すべての段階で積極的に関わってくれた。

公園改修という取り組みのために、地域の大人たちが協力し、地域の力をつけることができた。子どもの力を借りることによって、地域の力を高めていった事例である。
今ひとつ、子どもが自ら育つ力、発言する力をつけることが、まちを変えていくエネルギーになる。そうした事例として、「ミニ・ミュンヘン」の取り組みをご紹介いただいた。これは、ドイツのミュンヘンにあるオリンピック公園内の自転車スタジアムを会場に、2年に1度、夏休みの期間のおよそ3週間にわたって開催される、ひとことで言うと子どもたちによる大規模な町づくりごっこ、「遊び都市」である。7歳~15歳までの子どもだけで運営する町で、期間中は3~4万人の子どもたちが参加する。参加は無料であり。主催者は音楽や美術の教師で、子どもが思いきり遊べる場所と時間を提供することが、いい社会をつくっていくことだと信じて、活動を続けている。
ミニ・ミュンヘンの市民になった子どもは、自分の好きな仕事を見つけて、市民生活を送る。市役所、郵便局、警察、裁判所、銀行、テレビ局、新聞社、花屋、薬局、レストラン・・・洋服のデザイナー、建築家、タクシードライバー、大工、絵描き・・・。ミニ・ミュンヘンには様々な施設やお店があり、多様な仕事(職業)がある。どんな仕事でも働くと時給5ミミュ(地域通貨)が得られ、このうち1ミミュは税金として市役所に納める。憲法もあって、市長を選ぶ選挙がある。建築学校があり、そこで講座を受けると建築家の称号をもらえる。ある人がお店をつくりたい、と言えば、図面を書いてあげ、収入を得る。市役所で建築基準法に基づいて図面の承認を得、現場の工事事務所でひとを雇って建設する。働いて得たお金を払って、食べて、遊ぶなど、さまざまな娯楽やサービスを得ることができる。「なぜ、毎日ミニ・ミュンヘンに来るの?」と聞くと、すべての子どもが「楽しいから」と答える。子どもにとって、「遊ぶこと」と「働くこと」の区別は全くない。子どもたちは、このミニ・ミュンヘンで社会の原点を体験し、その仕組みを身をもって学ぶことになる。
鼎談では、嘉田知事から「子どもが自ら育つ力をそこなったらもったいない」、「ミニ・ミュンヘンでは、社会の仕組みがみえ、学ぶことができることは素晴らしい。大人にも社会の仕組みをもっと知ってもらい」、「ミニ近江をつくりたい」などの意見があった。

会場から、「しゃくなげ学校(蒲生野考現倶楽部)」、「だがしや楽校」、「沖田条理の里子ども会」の3団体から、子どもを中心にした活動報告があった。「学校でやれないことをやっている。そのことを学校にもういちど、取り入れていってほしい。学校や教師をかえていく、という取り組みになってほしい。そうした地域の取り組みと学校の取り組みが循環することが大事である」、「中学、高校になると、地域から離れてしまう。こうした年齢層にも、社会に関わるプログラムを提供していく必要がある」、「地域の誇り、プライドをどのように子どもたちに伝えていくか。このことと関連して、地域や団体の横のつながりをいかにつくっていくか。そのための、何らかの仕掛けが必要ではないか」といったコメントが卯月さんや嘉田知事からあった。

滋賀県の地域再生にとって、コミュニティの再生は大きな課題のひとつである。そうしたなかで、子どもをコミュニティで育てる、子どもがコミュニティで育つ、そうしたなかで地域の住民が新たなつながりを取り戻し、地域の力を高める。コミュニティの再生にとって、こどもの存在が大きいことをあらためて認識したフォーラムであった。(森川稔)
【カテゴリー: 事務局からのお知らせ, 公開特別講義 — nkon @ 3:07 PM 2008 年 12 月 27 日 】


