第2回「近江地域再生フォーラム」の報告
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・*.。★┏┓ だれが“農”を支えるのか
~滋賀における“農”と地域再生~ ★。.*・’
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◆ と き 平成20年8月2日(土) 13時30分~17時
◆ ところ 滋賀県立大学交流センター
◆ 内 容
〈 第1部 基調報告 〉
若者の新規就農が支える大規模農業
・ (有)共同ファーム代表取締役 今井 敏氏
集落営農による“農”の課題と可能性
・ 農事組合法人サンファーム法養寺 代表理事 上田栄一氏
“百笑一座”が演じる“農”と暮らし
・ 集落営農グループ「百笑一座」広報担当 中嶋利明氏
〈 第2部 意見交換 〉
・ パネラー 今井敏氏、上田栄一氏、中嶋利明氏
・ 進 行 森川稔(滋賀県立大学人間文化学部准教授)
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“農”は、滋賀県に限らず、わが国における地域再生の大きなテーマである。そして、地域再生という視点から“農”をとらえる場合には、“農”を多面的にとらえるとともに、その相互の関係に着目していく必要があろう。このフォーラムでは、滋賀県における“農”を、「暮らし」、「環境」、「産業」という3つの視点から捉えるとともに、そうした“農”を支える担い手や組織・仕組みなどについて、意見交換を行った。(図1)
図1
基調報告をされたお三方は、“農”に対する関わり方がそれぞれに異なっている。
今井敏さんが代表取締役をされている(有)共同ファームは、20歳代後半から40歳代前半の若手13名で構成される農業者集団で、企業的な農業経営を展開している。平成10年1月に設立され、現在は小麦80ha、大豆80ha、水稲9ha、大豆収穫作業請負80ha、小麦収穫作業請負120haと、無人ヘリによる水稲・麦・大豆病害虫防除900haを請け負っている。大型高性能機械の導入と計画的な作業、徹底した作業時間ロスの排除などにより、短時間で作業を終えることが共同ファームの売りであり、労働時間は県平均の1/2~1/3程度であるという。
今井さんのお話には、今までにない新しい考え方で農業に挑戦していく姿勢が強く感じられ、エネルギッシュに農業に挑戦する姿には格好良さが感じられた。そうした企業的経営においても、農業の伝統的美学である「結い」の精神、お互いの助け合いに基づいた経営、力を合わせて取り組む「和」を基本にしているということを強調されていた。

上田栄一さんが代表理事を務められる農事組合法人サンファーム法養寺は、平成4年7月に22戸で発足した法養寺営農組合を母体に発展した組織である。
「儲からないけど損をしない農業」を基本にしている。トラクター2台、コンバイン1台の初期投資1317万円でスタートし、その後15年間、誰も農業機械を買っていない。この事業をやっていなかったならば、農家全体の機械投資はおそらく1億円以上になったのではないかという。更新積立制度(作業料金に「更新積立金」を算入)を取り入れて計画的に積立をしているため、初期投資以後、機械代を集める必要がない。
運営のポイントは、いかに少ない人数で大量の仕事をこなすかにある。大型高性能機械を導入しているので作業が早く、オペレータ費が少なくてすむ。ここらあたりは、今井さんの考え方と一致している。泥付きの機械は格納庫に入れないなど、共同利用機械の使用ルールを定め、長持ちさせることに配慮している。大型機械の導入により、若い人を引き込むことが容易になり、最近、青年5人がオペレーターに参加してくれるようになったという。
集落営農の究極の目的は、「明るく住みやすいむらづくり」にある。今年は収穫の後、ビニールハウスを建て、非農家の退職者2名が園芸栽培に取り組むことになっている。これからの農業の担い手として、組合員だけでなく、非農家や集落外の人など、新たに農業に取り組もうとする人たちの参加が期待される。そこに新しい農業経営がありうるのではないかとお話された。

中嶋利明さんが参加されているグループ「百笑一座」は、長浜市の旧浅井町の山里で、集落営農に取り組んでいる、ゆるやかなつながりの団体である。
発足は9名で、その後参加者が増え、現在は22名が参加しているが、高齢化により農作業のできない人も増えてきている。そうしたなかで、農業を真正面からとらえるのではなく、百姓(百笑う)は農業を楽しくやりましょう、という気持ちで取り組んでいるという。山里にあることから獣害が大きく、その対策が大きな課題になっている。フォーラムでは獣害対策の道具をいろいろと披露して下さったが、どれもユニークな道具ばかりで、中嶋さんのお話からは、獣と人間の知恵比べを楽しんでいる、という風にも感じられた。
また、“農”と“暮らし”は一体のものであり、“農”を支えるとは“暮らし”を支えることだととらえている。最近は高齢者が増えていることから、集落営農と同じ発想で、家庭で支えられないものは、集落(みんな)で支えようとのことで、“集落介護”をめざしている。「集落で支える“農”と“老”」という発想である。そうした“暮らし”を支える仕組みとして、非農家も含めた「万楽一座」の取り組みが始まっている。集落でも支えていくことが困難な状況から、もうひとつ大きな地域の広がりのなかで支えていく取り組みが始まっている、とのことであった。
また、地域は地域住民だけでは守れない。地域住民に都市住民、大学などの協力も必要であるとの発言があった。

意見交換では後継者をどのように確保したらよいか、との質問があった。それに対しては、お三方とも経営基盤を確立すること。また、農業を儲かるようにすること、との意見であった。もっとも条件が不利な中嶋さんにしても、目の前の田を守り、次代に引き渡す必要があるとのことであった。
(有)共同ファームは企業として、つまり産業としての農に取り組んでいる。農事組合法人サンファーム法養寺は、むらづくりという取り組みの中での農業経営である。そして、集落営農グループ「百笑一座」は、高齢化が進む集落の暮らしを支えていくことも視野に入れて取り組んでいる。
今回のフォーラムからは、滋賀の“農”を3者3様で支えていく姿が伺われた。そのなかで、もっとも企業的に取り組む今井さんから、「農業はひとりで守っていけるものではない」との発言があったことは、“農”を支えていく上で、“結い”という伝統的な言葉に象徴されるように、地域の相互扶助がいかに重要であるかを、改めて教えられたフォーラムであった。(森川稔)


